「風の谷のナウシカ」の映画版をご覧になった人は多いでしょう。
めちゃくちゃ多いでしょう。
では、原作のコミック(漫画)版はいかがですか?
映画版と比べて、圧倒的にスケールが大きく、話が深い内容となっているので必読です。
コミック版のあらすじ
「火の7日間」と呼ばれた戦争により、それまで高度に発展していた人類の産業文明は崩壊し、それから1,000年後、汚染され荒廃した世界は「腐海」と呼ばれる有毒の森に広く覆われていました。
腐海では菌類が放つ「瘴気(しょうき)」という猛毒のガスが漂い、腐海を守る巨大生物「蟲(ムシ)」が多数生息し、戦争で生き延びた人類はその脅威に怯えながら過ごしていました。
そんな世界のなか「風の谷」という辺境の土地では、風の流れに守られて猛毒ガスが入ってくるなく、人々は穏やかに暮らしていました。
その風の谷の族長の娘がナウシカです。
ナウシカは風の流れを巧みに読むことができ、空を飛ぶ凧(メーヴェ)を巧みに乗りこなし、剣術の腕前も抜群です。
また、腐海の蟲とも心を通わせている。
ナウシカは慈悲深い性格であり、谷のみんなから頼りにされ愛されているのです。



風の谷は辺境の土地にありますが、他にも「トルメキア王国」と「土鬼(ドルク)」という2つの敵対する強国があり、それらの強国の間で発生した戦争に巻き込まれていくことになります。
風の谷などの辺境諸国は、トルメキア王国と盟友関係にあり、有事の際には戦列に加わることが条件になっていたのです。
トルメキア王国の王女は映画版でも出てくるクシャナ王女。
ナウシカはトルメキア側につきクシャナ王女と戦場へ。
強国同士の戦いに巻き込まれながらナウシカは、世界の姿を目の当たりにし、未来のために戦っていくのです。
映画版との違い

映画では「風の谷」に、トルメキア王国の王女・クシャナ率いる一部隊が侵攻するという一地域での紛争が描かれていますが、コミックでは「トルメキア」と「土鬼(ドルク)(映画版には登場しない)」という2つの強国が激しい戦争を繰り広げており、そこにナウシカも巻き込まれていくのです。


映画版の構図は
「ナウシカ対クシャナ」
原作コミックでは、
「ナウシカはクシャナともに戦場へ赴く」
です。
この点で構図がかなり異なりますね。
しかも、映画版はぜんぶで7巻ある原作コミック版のたった2巻の途中までの内容が入っているだけです。
さらに上記の映画版とコミック版での違いがあるように多少構成を変えてまとめたものなのです。
映画の時間制約により、宮崎駿が描きたかった全ての要素が詰め込まれているわけではないということです。
コミック版では、主要なテーマである環境保護、戦争の無意味さ、そして人間と自然との調和について、宮崎駿はより深く、複雑に考察しています。
まるで今の時代を、当時から見据えていたかのようです。
1982年から94年まで足かけ13年にわたり「風の谷のナウシカ」を描きました。
映画公開は1984年です。
なんと、ほかの作品「天空の城ラピュタ」、「紅の豚」、「となりのトトロ」などの制作の合間を縫って続きをずーっと書いていたということで、風の谷のナウシカに対する思い入れの強さを感じます。
ただのエンターテイメントを超え、わたしたち自身の世界観を問い直すきっかけを与えてくれるんです。
スケールがかなり違いますのでコミック版をぜひ読んでみてください。
わたしも、コミックについている世界地図を見ながら、じっくりと読みました。
まとめ

「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」
映画版を見て感動した方、興味を持った方は、ぜひコミック版を読むことをおすすめします。
ナウシカの冒険は映画版だけでは完結しておらず、宮崎駿の完全なビジョンはコミック版にこそ表現されています。
世界観の深さと物語の完成度から言っても、「風の谷のナウシカ」のコミック版は、映画ファンだけでなく、広く一般の方にぜひ読んでいただきたい傑作です。
全7巻のコミック版はこちらから入手可能です。
ではでは、だれかに、あれこれ